OVERMAN FORUM

「モンスターいる？」「・・・・・気配はするけれど、近くにはいないわね。この階も広いわ。」2階に上がると、鞄・靴売り場だったらしいこの場所は、売り場ごとの小さなスペースに区切られていた。（この世界の人からみたら、デパートは不思議な空間なんだろうな・・・・）
「地図,？・・・・・・・・・地図、かしら、これ。」4つに分かれた棟からできているデパートだったらしい。東西南北の名前が付された棟の、それぞれの階にどのような売り場があるか、壁に埋め込まれたパネルを眺める。「マギア語ね。読めないわ。」
天井を見ると、電灯はあたり一面に設置されたまま残っているが、電気が走っていない以上、おそらく点くことはないだろう。それとも自家発電とかあるのだろうか。「それにしても、ずいぶん簡単に入れたわね。」「他の子たち、正面から入ることにこだわってたみたいだしね。楽でいいのに。あ、地図あるよ、ドール」
ドールと3階・４階と上っていく。バサバサバサ「うわ,！」羽ばたき音がして、大型犬位の大きさがありそうな鳥が突然襲ってきた。「！シオン！！はっ！」スパン相変わらず気持ちいいほどの大振りにより、鳥は真っ二つになる。しゅるしゅると魔石になるモンスターを見ながら、私はドールが願掛けの呪文（？）を唱えなかったことに気づいた。突然だったから間に合わなかったのかな,。「ドール、段々暗くなってきたし、ランタン出そうか。」「そうね。モンスターに位置を知らせてしまうのが難点だけれど・・・・,。魔石入れて頂戴。」「鳥型モンスターって夜目利くのかな。」私は荷物から光をともす魔石に魔力を込め、手持ちのランタンに入れながら疑問に思っていたことを聞く。「・・・・・・利くも何も。もう一羽来たわよ。」スパン「・・・・・・・・・ああ。」目のない鳥がこんなに不気味だと思っていなかった。魔石化する鳥は、退化なのか、落ち窪んだ骨格にも羽が生えていた。５階・６階と順調に上がっていく。「モンスターはたしかにたいしたことないわね。だけど、何も見当たらないわ。」「ほんとだね。ガランとしてる。」エスカレーター周辺には防火シャッターが下りていたり、壊された跡がある。少なくとも見える範囲には商品も何もない,。それは到着した７階でも同じだった。「邪魔だわ」ブウン　スパッスパーンすさまじい勢いで風を切ったドールの斧は、巣を作っていたらしい鳥形モンスター達を一振りで一掃した。ほんとにすごいな、ドールの怪力は。宝石が並べられていただろう空のガラスケースを見ていく。ケースはずらされていたり割られていたりと悲惨な状況だ,。泥棒が入ったみたい。「何にも残ってないねえ。」「おかしいわね。宝箱や貴重品が今でも時折見つかると聞いているのだけれど。」私もドールも無言で考えにふける。ドールはぶつぶつとお宝は、とか言っているけれど、私は別の事を考えていた。≪デパートにいた人はどうなったのか≫このデパートが私の世界のものだとしたら、外のアスファルトを見るに地盤ごと移動したということなのだろう。この小島自体が、元の世界の物なのだ,。駐車場には車はなかったけれど、これも貴重品として運ばれたのだろうか。（それとも、閉店後に移動したのかな。だったら人はいなかったのかも。）「シオン、ダメね、移動しましょう,。どこがいいかしら。」「え、あ、ああ、そうだね。」つい考えに耽っていて、今が課題の最中だというのを忘れかけていた,。「どこに行こう。・・・・・・・・あ。」「どうしたの？」開かれた場所である売り場にはおそらく何も残っていないだろう。だったら、裏側を探してみたほうがいいのかも。「ねえ、ドール、ここなら何かあるかも」そういって私は通路とほぼ一体化して目立たなくされていた「ＳＴＡＦＦ　ＯＮＬＹ」と書かれた場所を指さした,。http://www.longchamp,.kixitmevent2013.comマギア語がわかるっていうのは黙っとくべきなんだろう,。「適当に回るのはこれだけ広いと、効率が悪そうね。」「う～ん、そうだね。何を目指すか、だよ。どんなものが価値があるかなあ。」７階の売り場の「宝飾」が目に飛び込んでくるが、きっともう持ち出されているだろう,。ロンシャン現在いる１階は化粧品売り場だったようだが、すでにガランとしており、商品は全く見当たらない。ポスターすらもないのだ。「価値のあるもの・・・・・宝石や本、かしら」「じゃ、７階行こう」「７階？なぜ？」「！！！い、いや、なんとなく、その辺りにあるかな～、って！」
ドールはこの遺跡で宝物や貴重品が頻繁に発見されるし、人によって進める階層も違うと言っていた。私は、下りている防火シャッターに目をやった。おそらく初期の、電気が残っていた時にはエレベーターも動いていたのだろう。だけど、この世界ノン人には使用方法がわからなかったのだ。
探索
「ちょっと暗いね・・・。」「配布物にランタンがあったわ。出すほどではないのかしら。」デパート遺跡の内部は窓から光が入っている通路は明るいが、非常口から売り場のフロアにまわると、途端に薄暗い。灰色がかった空間は、若干ほこりっぽい。
わたわたとごまかす私にドールは不思議そうに首をかしげたが、他にアテがあるわけではないので、2人で７階を目指すことにした,。当然動かないエスカレーターを2人で登っていく。不思議な気分だ。ゴツゴツと、ドールの厚底ブーツの音が響く。
「え、あ、ああ。ソウダネ！ヨメナイネ！！」あぶない,。ドールが同年代の女の子だし、ゴシックファッション女子ＩＮデパートということで、つい「どこからまわる～？」とか言ってショッピングするような気楽さが私にはあった。
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