OVERMAN FORUM

　手近にあったお皿に持って手渡すと、「ありがとうございます。喜びます。」　そう言われた。「喜びます？誰が？」
　まだその場に居るらしい赤い騎士さんの前にワゴンだけを残し、まだ湯気を上げているミルクパン粥をお盆に乗せる。　それを持って、私は青い騎士さんの部屋に足を踏み入れた。　青い騎士さんの部屋は、必要最低限の物しかなく、とても質素なものだった。　なんというか、あまり生活感の無い部屋だな。　青い騎士さんは部屋の隅に置かれた大きめのベッドの上に転がっている。　眠っているわけではなさそうだが、こちらを見ようとはしない。「青い騎士さん、パン粥作ってきましたよー。」　そう言いながら、ベッドサイドにある小さなテーブルにパン粥を置く。「…。」　完全に背を向けられている。　動く気配すらない。　これは長期戦になりそうな予感。私はそれに備えて手近にあった椅子を借りる。「食欲は無いでしょうが、少しでも食べて薬飲みましょう。ね！」　ベッドの上で、私に背を向けたまま微動だにしない青い騎士さんの腕を掴み、身体を揺らす。　具合が悪いと機嫌も悪くなる、赤い騎士さんが言っていたことは本当らしい。http://www.lastfmrecords.com　とのこと。「はーい。」　と、間延びした返事をしながら薬を受け取った。　この世界の薬といえば、階段から落ちた時に渡された痛み止めを思い出す。diesel バッグ　やたら副作用が強いんだよなぁ…などと意識を別の方向へと飛ばしていると、「しかし夜に男の部屋にほいほい入るとなると…」
　でも、以前病人でもなんでもない赤い騎士さんに襲われかけて、それから脱出しているしな。　…納得もされるわ。
　面白そうに口角を上げた赤い騎士さんにそう言われる。「相手は病人でしょ。病人になんかされるほどか弱くないですし、私。」
　さっさとこれを青い騎士さんに食べさせなければ。　調理師さんにお礼を言って、そのまま急いで青い騎士さんの部屋へと向かった。
　青い騎士さんの部屋の前には、赤い騎士さんが居る。「…追い出された。アイツ具合悪いと機嫌も一緒に悪くなるからな、ヤバいと思ったらすぐ逃げた方が良い。あとこれ、薬。」
「いえいえ、僕がですよ僕が。」「ふぅん…レシピが必要なら後で教えますね。」　不思議な事を言う人だな、と思いつつ私はミルクパン粥をワゴンに乗せた。
「それもそうだな。」　食い気味でそう言われた。　納得されたらされたで何かもやっとするわけだが…
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