OVERMAN FORUM

「やる気があるようで何より。それにしても……」　テラダさんは、ステラが練習に使っていた部屋を眺めた。
　そういって、テラダさんはポケットからアメ玉を取り出した。　和紙をねじった包み紙には、ステラには読めない東国風の文字が書かれている。
　カミナリを落とす、というのはもののたとえで、実際に嵐の精霊を呼びよせるわけではない。　本気で怒ったオーガスト局長なら、やりかねないが。
　ものがごちゃごちゃ置かれていて、狭苦しい場所だった。「ここはホコリっぽいな。後で片づけておく。練習にいそしんだ結果、ノドを痛めては、皮肉のきいた笑い話にしかならない」
　問いつめたいことは山ほどあったが、うかつに口を動かせない。味覚と嗅覚を刺激してしまう。「食材の味をそのまま再現。故郷を遠く離れた旅人の心に、懐かしの思い出の味がすっとしみわたります。……が、キャッチコピー。郷愁のキャンディーシリーズ、好評発売中だそうだ」
「は、はのっ？　こ、こりは、いったい、なんの味れすか？」「マツタケ。高級食材だ」「おぅふあ……」
　テラダさんは再びポケットを探った。「他に……トウフと、魚……、コンニャク味もあるが」「ひえっ、遠慮しておきまふ！」
　一刻も早くこのアメを口の中から消し去りたい！　ステラは涙目になりながら、ムダに上品で風味豊かなアメをどうにかこうにか食べきった。　そんなステラの横で、テラダさんは黙々とアジのサシミ風味のキャンディーを堪能していた。「……では。練習の邪魔をしてしまったな」　立ち去ろうとしたテラダさんが、ふと足をとめた。「新品の精霊のオーブが、工房から届いた」「良かったです！　これでまたあの道も明るく照らせます」「ああ。今から設置し直してくる」　街灯はとても高い。いくら背の高いテラダさんでも、オーブを取りつけるのは大変だ。　ハシゴを使えば手が届くだろうが、それでも危ない作業に変わりはない。「一人でですか？　ヘルメットとかハシゴとか、必要なものを運ぶの手伝いますよ」「……」　テラダさんが再び何かを取り出すそぶりを見せたので、ステラは反射的に身構えた。http://www.fendi.welcometosandition.com「ノドアメではないが、ないよりはマシだろう」「くれるんですか？　わあ、ありがとうございます！」gucci バック　めずらしいお菓子にドキドキしながら、ステラはアメを口に入れた。「っ！？」　瞬間、口の中に広がったのは、お菓子にあるまじき芳醇すぎる香り。
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