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 Post subject: 頭上では星々が煌めいていた
PostPosted: Fri Aug 08, 2014 12:22 pm 
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Joined: Wed Jul 30, 2014 3:04 am
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「これからよろしく頼むぞ、二人とも!」 幾度かつまづいたものの、なんとかバランスを保ちながらカテーリア達のもとに辿り着いたアルファリファは、軽く息を切らせながらもはきはきと喋る。彼女は腰にエストックを差し、銀に輝く鎧を纏っていた。しかし鎧に着られている感が否めないし、剣も実戦向けというよりかは美術品のようだ。やはり戦力にはならなそうだと、カテーリアはアルファリファに抱いた印象を改める事なく一瞥する。「さっき、ギルアヴェルから聖遺物のリストをもらってきたんだ。街門のほうに馬車が用意されているんだろう? 私はいつでも出発できるが、どうする?」
 出立式を終え、カテーリアは大聖堂から出る。それだけで街の喧騒がカテーリアを包み込んだ。大聖堂は双星教庁の管理している建物だが、大聖堂があるのは教庁の敷地内ではなくファレンティナの中央広場なのだ。街とは一線を画すような教庁に漂う荘厳な空気も、大聖堂の周辺では感じられなかった。しかしそれが心地よいと、カテーリアは一人満足げに周囲を見渡す。「えっと、もうカテーリアって呼んでいいのかな?」 そんな彼女に声をかけたのはユージだった。カテーリアはそれを首肯し、辺りをぐるりと見回す。アルファリファがこちらに駆け寄ってくるのが見えたが、その足取りは危なっかしい。転ばないか心配になるほどだった。
 森を半分ほど進んだところで夜の帳が下りる。夜道を進むのは危険だ。そう判断した三人はそのまま脇にそれ、川の傍で野営をする事にした。 水浴びと夕飯をすませてから、明日に備えて早めに眠る。不寝番は交代制で、最初はユージの番だ。アルファリファとカテーリアは荷台に戻り、積み荷の中から寝具を取り出して眠りの世界に潜り込む。「――――リア、カテーリア!」「ん……」 自分の名前を呼ぶ声とともに身体が揺れ動かされる。それによってカテーリアはゆっくりと目を開けた。「交代……?」 カテーリアはとろんとした目で、自分を起こしたユージに尋ねる。ユージは苦笑しながら頷いた。「ああ。不寝番、よろしくね」「おう……」 弱々しい返事をして、カテーリアは目をこする。ユージは肩をすくめ、そのまま荷台の奥に進もうとした。しかし、そんな彼の腕をカテーリアはがっしりと掴む。「えっ!? な、なに!?」「……お前、何か隠してないか? なんか顔がおかしい……後ろ暗いもんを抱えてるとか、何かに悩んでるとか、そういう、顔……」 寝起きのためか、カテーリアの口調はたどたどしい。だが、ユージの心を揺さぶるのには十分な効き目があった。「……そういえば、君に隠し事はできないんだったよね」 ユージは眠るアルファリファを一瞥し、外を指さした。その意味を理解したカテーリアは立ち上がり、ユージの腕を掴んだまま馬車の外に出る。しかし立ち話をするのもなんだという事で、二人はそのまま荷台のへりに腰かけた。「僕はさっき豚鬼(オーク)を――――モンスターをたくさん殺した。……でもさ、気持ち悪いんだよ。生き物を殺す事も、それにためらいを覚えない自分の事も気持ち悪くてしょうがない」 野営のために熾した焚火を見つめ、ユージはぽつりと呟く。二人の背後では、アルファリファが規則的な寝息を立てていた。よほど疲れているのか、起きる気配はまったくない。「モンスターを斬ると、血がぶしゃって飛び散るでしょ? あれを直で見ても、何も感じないんだ。血で汚れたら嫌だなぁとか、そんな事しか考えられない。……日本にいた頃の僕は、スプラッター映画を観ただけでも『怖い』って思ってたのに」 そう語るユージの夜色の瞳は虚ろだった。伏し目がちなその瞳に映る感情を読み取る事は、カテーリアには難しすぎる。「まったく、どうしちゃったんだろうね。自分でも気づかないうちに、心境とか価値観とかが変わっていったのかな」  少なくとも今ここにいる僕は、日本にいた頃の山本遊司じゃない。ユージはそう言って、自嘲気味に笑った。「……ここに来てから、自分が自分でなくなっていくような感じがするんだ。これから先も僕は僕でいられるのか、その自信が持てない」 ユージの不安は漠然としている。カテーリアに答えを出せるはずがなかった。彼の言葉に答える事ができるのは、時の流れと彼自身だけだ。「カテーリア。もし僕が人としての大事な一線を踏み越えそうになったら――――」「ぶん殴ってでもお前を止めればいいんだろ? ま、あたしがいる限りはお前にそんな真似はさせねぇけどな」 しかし、カテーリアにもできる事はある。カテーリアは口角を吊り上げ、ユージの頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でた。「カ、カテーリア!?」「そんな泣きそうなツラしてんじゃねぇよ、男だろうが。……まだ旅は始まったばかりなんだ。深刻に考えすぎるな。一人で抱えて思い悩むな。なんのためにあたしがいるのかわかってんのか?」 ユージはとっさに抵抗するが、カテーリアがそれを許さない。暴れはじめるユージに構わずにカテーリアは言葉を続けた。「あたし達は一蓮托生だって言ったのはお前だろうが。つまりそれは、あたしの問題(もの)はあたしの問題(もの)、お前の問題(もの)もあたしの問題(もの)って事だろうがよ」「……どこのジャイアンだよ、それ」 やがてユージがくすりと笑った。まだ表情は少し強張っていたが、顔の翳りは薄れているようだ。この様子なら大丈夫だろう。「じゃいあん?」「何でもないよ、気にしないで。……ありがとう、カテーリア」 耳慣れない単語に首をひねるカテーリアを見て、ユージは柔らかく目を細める。夜空では無数の星が、彼らを見守るように瞬いていた。◆ ◇ ◆  教皇統括区の片隅に建つ、とある屋敷の書斎。屋敷の主であるギルアヴェルは、星辰訳書を片手に一人執務机の上に座っていた。しかし、彼の行儀の悪さを咎める者は誰もいない。 窓は開いているが、カーテンはしっかりと閉じられている。室内で明かりといえるのは部屋を仄かに照らす揺らめく燭台の炎だけだ。「嗚呼――――穢したい」 屋敷は広く、使用人も屋敷の大きさに見合った数がいる。しかし住み込みの使用人を除けば、住んでいるのは家人であるギルアヴェル一人だけだ。だが彼には、ここを引き払ってもっと手ごろな大きさの家を構えようなどという気はなかった。「この世でもっとも尊くて、この世でもっとも清らかで、この世でもっとも美しい、無垢なる乙女エヒミアよ。この俺が貴様の純潔を奪って身も心も堕としたのなら、貴様はどんな声で鳴いてどんな顔を見せてくれるんだ?」 ギルアヴェルが開いているのは、星女神の御姿(みすがた)が描かれた頁(ページ)だ。彼はどこか陶然とした面持ちで、エヒミアという名の美しい少女神に視線を落としていた。「貴様さえいなければ……」 声に嫌悪をにじませ、彼は挿絵を握り潰す。そのまま破って破って破り捨てていると、散った一片の紙屑が燭台の炎の上を舞った。ギルアヴェルはそれを一瞥し、つまらなそうな声で火の下級属性魔法の詠唱を始める。 手にしたままの星辰訳書は炎に包まれた。聖なる教えの書かれた書物は瞬(またたく)く間に灰となる。「何が処女神だ、笑わせるな。女神を騙る雌豚が」 ギルアヴェルは憎々しげに吐き捨てる。青の瞳に渦巻くのは憤怒と憎悪だ。それを抑え込むように、彼はグラスにワインを注いだ。 血のように紅い液体がグラスを満たしていくと同時に、ギルアヴェルは左目を覆う眼帯を外す。彼の瞳は左右で色彩が異なっていた。しかし、その双眸がどちらも悪意に彩られている事に変わりはない。 ギルアヴェルは机に置かれた水晶玉に視線を移す。水晶玉には眠そうに眼をこするユージの姿が映っていた。彼に向かって、ギルアヴェルは冷淡な声を投げかける。「俺のために踊れ、哀れな生贄(ゆうしゃ)ユージ・ヤマモト。エヒミアに魅入られてしまったお前の事は心の底から同情するが――――それとこれとは話が別だ」 銀の髪が夜の冷たい風になびいた。乱れる髪を抑え、ギルアヴェルは机から降りる。その手にはワイングラスが握られていた。 ギルアヴェルは窓に近寄り、カーテンを大きく開け放って空を見上げる。頭上では星々が煌めいていた。忌々しいその輝きにどれほどの民が惑い、その人生を狂わされた事だろうか。ギルアヴェルは夜天を睨みつけた。「穢れた売女(ばいた)に祈りを捧げる国など滅びてしまえばいいものを。……いっそ俺がこの国を滅ぼしてやろうか?」 ワイングラスを傾けて、彼はただ嗤った――――――――http://www.airjordan.kixitmevent2013.com「……二人とも、強いんだな」 ユージとカテーリアに羨望と焦燥の入り混じった視線を向けるのはアルファリファだ。混合獣(キメラ)に背後を取られた彼女は、豚鬼(オーク)との戦闘でも大した役に立っていなかった。へっぴり腰で剣を振るアルファリファは危なっかしくてしょうがない。彼女が戦力になるなど最初から期待していなかったカテーリアだが、何となく生暖かい目でアルファリファを見てしまう。「あたくしはあたくしにできる事をしているだけですわ。リファ様も背伸びをせず、自分にできる事から始めてみてはいかがでしょうか」 カテーリアは返事になっているようななっていないような言葉をアルファリファにかける。今の言葉はカテーリアの本意だった。素人が剣を振り回していたら、いつ味方に被害が出るか気が気ではないのだ。アルファリファは直接戦闘に参加するのではなく、後衛で支援に徹するかおとなしくしてほしい。ディーゼル 時計「むぅ……。できる事から、か」 カテーリアの本音をくみ取ったのか、アルファリファが小さく頷く。口では色々と言っていても、自分が足手まといである事は自覚しているらしかった。おそらく彼女は少々見栄っ張りでプライドが高いだけで、本質的な部分は素直なのだろう。「僕が強いっていうか、身体が勝手に動くんだよね。モンスターに対する恐怖心とか、殺す事への嫌悪とか、そういったものを感じる前に、さ」 ユージの声は微かに憂いを帯びていた。身体が勝手に動く、というのはちーとあっての事なのだろうか。そこに彼の意思はないように感じられて、カテーリアは眉をひそめる。
 《移動水晶》を使用すれば、隣国であるファレブルカ聖属国にあっという間に到達できる。《移動水晶》は国と国を繋ぐ貴重な交通手段だった。もっとも、カテーリアも原理は詳しく知らないのだが。「このままここをまっすぐ進んでいればいいんだよね。……早く抜けられるといいんだけど」 森とはいえ、ある程度人の通りはあるらしい。森の中には街道が造られていて、カテーリア達もそこを通っていた。しかしモンスターが出没する以上、安全な道だとは言いづらい。いつまでも森を走るより、早く大きな街に行ってゆっくりと過ごしたいのはカテーリアだけではないだろう。馬鞭がしなり、ユージの操る馬車は軽やかに前へと進み始めた。
「次に目指すのはフェルナだったな?」 荷台に乗ったアルファリファが地図を広げながら問う。道案内は地図が読めるアルファリファの役目だった。幌馬車なので、御者台に座ったユージも荷台に乗ったカテーリアとアルファリファの二人と簡単に会話ができるのだ。「ええ。この分だと明日の夕までには辿り着くはずなので、そこから《移動水晶》でファレブルカまで飛ぶ予定ですわ」 豚鬼(オーク)に絡まれたものの、その掃討にたいした時間はかかっていない。太陽はすでに西に沈みかけているが、このペースなら順調といえた。フェルナは、聖都ファレンティナから最も近い《移動水晶》が設置してある街だ。そこかカテーリア達の目下の目的地だった。より正確に言うならば、フェルナの街ではなくフェルナにある《移動水晶》が目的なのだが。
「ええ。荷物はすでに積み終えていますし、すべての準備は整っていますわ。あたくしも、ユージ様さえよければいつでも構いませんわよ」 アルファリファとカテーリアは揃ってユージを見た。ユージは表情を引き締め、重々しく頷く。「……よし、行こう!」◆ ◇ ◆ ◇ ◆「ん、これで全部かな」 周囲に散らばる豚鬼(オーク)の死骸と、異彩を放つ一頭の混合獣(キメラ)の死骸を見渡し、ユージは深い息を吐いた。バスタードソードは血に汚れているが、使い手である彼に疲労の色は見られない。 三人はファレンティナを発ち、馬車で次の街へと移動していた。その途中で豚鬼(オーク)の群れに襲われてしまったのだ。豚鬼(オーク)を一掃するために馬車に降りたのはいいものの、混合獣(キメラ)にまで遭遇するとは思わなかった。森にはまだ危険なモンスターがいるかもしれない。抜けるまでは用心したほうがいいだろう。
伝説が幕を開けるかもしれない法則
 やがて一週間が過ぎ、ついに国を発つ日が訪れた。教皇の名のもとに大聖堂で執り行われた出立式を、カテーリアは跪いて頭(こうべ)を垂れながら、居眠りをしてやり過ごす。彼女も随行者ではあるのだが、どうせ前に出るのはユージだけだ。出立式といっても大した意味はないだろうし、綺麗事で飾り立てられた言葉など話半分でも聞く気になれない。カテーリアは迷わず睡魔に身を委ねた。 ようやく彼女が目を覚ました時には、出立式はもう終わりかけていた。式典の途中、一度もバランスを崩す事なく眠る事ができたという偉業を達成したカテーリアは、一人感動に身を震わせる。もちろん自分が寝ている時の周囲の様子などわからないのだが、周りの者達はカテーリアを責めるような目で見ていないし、誰一人として彼女を襲っていた睡魔に触れようとはしない。さらに自分の体勢が、最後に記憶しているものとまったく同じだったのだ。これは誰にも気づかれずに眠れたと、カテーリアが判断したのも当然の流れだった。
「さて、そろそろ行こうか」 どこかで鴉の鳴き声が聞こえた。それを合図に、ユージは馬車に戻って御者台に座る。このパーティのリーダーである勇者に、従者よろしく御者の真似事をやらせるなどあってはならない事なのだが、三人はこの形に落ち着いていた。 カテーリアもアルファリファも馬を御した事がない。当然ユージもそうだとカテーリアは思っていたのだが、彼は「チートがあれば大抵の事はできると思う」と押し切って御者台に座ったのだ。その言葉に違わず、初めてにしては異常なほど上手に馬車を走らせる事ができていたので、そのままユージが御者役を買って出た。女子二人も最初は抵抗を見せたが、ユージが御者を務めるのがもっとも合理的だという事で決着がついたのだ。
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